「芭蕉布」という沖縄の曲を知っていますか?
これは、アジア各地に残りながらも、日本からは消え去ってしまった、沖縄の大宜味村で守り続けられてきた工芸の布をモチーフにした曲です。
そして、この「芭蕉布」という曲は、クララ新川さんという女性歌手によって、初めてレコーディングをされました。
その後、時を経て、沖縄を代表する曲となりましたよね!
現在は、加藤登紀子さんや宮沢和史さんや夏川りみさんなどのさまざまアーティストの方たちによってカバーされています!
琉球の風を感じるような、沖縄の美しい情景が目に浮かぶ曲です。
現地まで、飛行機に乗って旅行に行かなくても、大きな癒しを与えてくれるようなこの曲を掘り下げてみたいと思います。
「芭蕉布」 クララ新川が歌った曲の背景とは!?
この曲は、1965年に普久原恒勇さん作曲 、吉川安一さん作詞で誕生しました。
普久原恒勇さんは、現地では古賀政男と並んで称されるほどの人物です。
西洋音楽でも沖縄民謡でもない、新しいサウンドを作り出すことに情熱を傾けた作曲家です。
手がけた作品は 500曲以上にものぼり、沖縄の本土復帰前後の、混沌とした社会情勢と向き合いながら、曲作りを行ってこられました。
もともと沖縄は、琉球王朝という一つの国でしたが、後に、日本の管轄下に入りました。
そのような経緯の中で、普久原恒勇さんは、沖縄の音を一音でもこの曲に入れたかったそうです!
そして、その一音が功を奏して、この曲に「琉球の風」をもたらしていると評されています。
たったの一音で、沖縄の情景を表現するとは、さすが名作曲家ですね!
歌い手は、沖縄系ハワイ3世のアメリカ人、クララ新川さんという女性歌手です。
琉球放送で最初にレコーディングされ、「ホームソング」という番組の中で初めて放送されました。
その後、1978年NHKの「名曲アルバム」という番組に取り上げられ、全国的に広がっていきました。
「芭蕉布」クララ新川のために書かれた歌詞の情景とは!?
この曲は、ただ聴いているだけでも、沖縄のつよい日差しや美しい景色が目に浮かんできますよね!
赤いデイゴの花や、砂浜など、歌詞には出てこなくても、ありありと表現されているように感じますね。
芭蕉布とは、バナナ(実芭蕉)の仲間である糸芭蕉から、繊維を取り出して作る布です。
他の布製品よりも、複雑で繊細な扱いが必要なんだそうです。
しかし、だからこそ、芭蕉布は強く美しい布になるそうです。
沖縄が、まだ一つの国であった琉球王朝時代に、芭蕉布は、王族の着物として使われていました。
また、なんと!中国や日本(徳川家)への貢ぎ物としても使われていたそうです!
また、最上級の貢ぎ物でありながら、涼やかで、肌にまとわりつかない芭蕉布は、琉球各地の庶民の着物としても、広く使われていました。
美しい景色だけでなく、高温多湿な気候にあって、それに対応している現地の人々の生活模様が伺えますね!
そのような、ある種、過酷な環境との軽やかな共存が、この曲に、軽やかな風を吹かせているのかもしれませんね。
吉川安一さんは、この曲をクララ新川さんのために書き下ろしたそうです。
そして、吉川安一のお母さんが芭蕉布を織っていたそうです。
そのため、この曲は、幼い頃の吉川安一さんの記憶と、沖縄の温暖な気候を織りなした沖縄賛歌だそうです。
また、歌いだしの特徴的な「青」という色には、温暖な気候にあって、とても涼しげな印象を与えていますよね!
とてもシンプルな歌詞と、シンプルな音階でありながら、琉球の情景を見事にあらわしています。
まさに、琉球のそよ風のような曲ですね!
クララ新川 出身地・主な作品・これまでの歩みなど
クララ新川さんは、ハワイ生まれの沖縄系ハワイ3世のアメリカ人女性歌手です。
この一曲だけを発表しました。
その後、歯科医の方と結婚をしてハワイに帰ったそうです。
「芭蕉布」 クララ新川のまとめ
いかがでしたか?
まとめると、以下のようになります。
・「芭蕉布」:1965年に普久原恒勇さん作曲、吉川安一さん作詞で誕生。沖縄の情景を一音で表現する試みが成功し、「琉球の風」を感じさせる曲として評価される。
・曲の特徴:シンプルな歌詞と音階でありながら、沖縄の風景や生活を見事に描き出し、癒しを与える作品。
・クララ新川さん:沖縄系ハワイ3世のアメリカ人女性歌手で、1965年に「芭蕉布」を初レコーディング。
・芭蕉布:沖縄県大宜味村で守られてきた伝統工芸品で、バナナの仲間「糸芭蕉」の繊維から作られる布。複雑で繊細な扱いが必要で、強く美しい布として評価される。
・芭蕉布の歴史:琉球王朝時代、王族の着物や貢ぎ物として使用され、庶民の衣料にも広く使われていた。
・影響:加藤登紀子さんや宮沢和史さん、夏川りみさんなど、多くのアーティストにカバーされ、沖縄を代表する曲として広く知られるようになる。
この曲は、とても物静かです。
しかし、沖縄のさまざまな景色をすべて描き出すような、ひろがりのある曲です。
この曲をとおして、琉球の風と文化にふれてみてはいかがでしょうか?
コメント